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第四章・5

 淳がシャワーを浴びている間、健斗は実由にラインを送った。  しばらくすると既読になり、返事が来た。 『俺、淳さんと付き合うことになった!』 『冗談は休み休み言うように!』 『ホントだって。今、彼のマンションにいるんだぜ』 『ホントに本気?』 『夕方、カフェでそういうことになった』 『嘘~。でも、良かったね』 『うん。ありがとう』  その後、実由から返事が来なくなったので、健斗はスマホを置いた。  ちょうどその時、淳がバスルームから出て来た。 「部屋着、僕ので平気?」 「少しきつい、かな?」 「今度、新しいの買っておくよ」  健斗の部屋着を用意しておく、ということは。 (今後も来ていい、ってことか!)  嬉しくて、健斗はにこにこしている。  そんな無邪気な彼に、淳は罪悪感を覚えた。 (僕は秀孝が好きなのに。飛永くんを誘うような真似をして)  心を蝕む感情から逃れるために、淳は健斗にささやいた。 「寝室、あっちだから」  健斗はただ、ふらふらとその後について行くしかなかった。

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