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第四章・7
「まさか、淳さんが健斗とくっつくなんて」
実由は、眠れない夜を過ごしていた。
「マンションにいる、ってことは。確実にエッチしてるよね、今頃」
ああ、と枕を噛んだ。
「嘘。だって、淳さんは。淳さんは、秀孝さんと……」
西日の差す放課後の生徒会室で交わる二人の姿が、生々しく思い出される。
そうでなくても、生徒会長と副会長はお似合い、だとか囁かれているのだ。
実由も、今日の現場を見なくとも、二人はこっそり付き合っているんじゃないかと思っていた。
「淳さん、何を考えてるんだろ……」
そして、健斗も。
「健斗のバカ。鈍感。僕の気持ちなんか、全然わかってない!」
やだ。
僕、泣いてる……?
涙が、ぽろぽろこぼれてくる。
「ダメダメ。目が腫れると、明日学校に行くの恥ずかしいじゃん」
冷たい水で顔を洗い、目を冷やしていると、携帯が鳴った。
「電話? まさか、健斗じゃないよね」
もう別れた、とか言ってきたら、笑うけど。
しかし、健斗からではなかった。
「司さんだ」
鼻をすすり、実由は電話に出た。
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