31 / 100

第四章・7

「まさか、淳さんが健斗とくっつくなんて」  実由は、眠れない夜を過ごしていた。 「マンションにいる、ってことは。確実にエッチしてるよね、今頃」  ああ、と枕を噛んだ。 「嘘。だって、淳さんは。淳さんは、秀孝さんと……」  西日の差す放課後の生徒会室で交わる二人の姿が、生々しく思い出される。  そうでなくても、生徒会長と副会長はお似合い、だとか囁かれているのだ。  実由も、今日の現場を見なくとも、二人はこっそり付き合っているんじゃないかと思っていた。 「淳さん、何を考えてるんだろ……」  そして、健斗も。 「健斗のバカ。鈍感。僕の気持ちなんか、全然わかってない!」  やだ。  僕、泣いてる……?  涙が、ぽろぽろこぼれてくる。 「ダメダメ。目が腫れると、明日学校に行くの恥ずかしいじゃん」  冷たい水で顔を洗い、目を冷やしていると、携帯が鳴った。 「電話? まさか、健斗じゃないよね」  もう別れた、とか言ってきたら、笑うけど。  しかし、健斗からではなかった。 「司さんだ」  鼻をすすり、実由は電話に出た。

ともだちにシェアしよう!