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第五章・7

「い、いやぁ~、驚きました。僕、淳さんはてっきり秀孝さんのことが好きだ、って思ってたから……」 「そんな風に、見えた?」 「は、はい」  他人から見ても、そうなのだ。  淳は、確実に私のことを想っていたはず。 (それが、どうして……?)  昨日の放課後も、この部屋で私にその身を任せて見せたじゃないか。  はしたなく、啼き悦がったじゃないか。 (淳、何を考えてる?)  どことなく深刻な顔をして黙ってしまった秀孝を置いて、実由はそっと生徒会室から出て行った。 「何か、秀孝さんヤバい顔してた」  大丈夫かな、あの二人。 (特に健斗。いざこざに巻き込まれなきゃいいけど……)  やっぱり秀孝さん、淳さんのこと好きなのかな。 「これって、淳さんに伝えたほうがいいのかな」  秀孝さんの様子が、変だったこと。  健斗ではなく、実由の方が巻き込まれ始めていることに、本人はまだ気づいていなかった。

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