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第六章 実由と秀孝

 健斗と淳が付き合っている、という噂は、実由が話さなくとも秀孝の耳にじゃんじゃん入って来た。 『昨日、カフェで二人一緒だったぜ』 『朝は仲良く登校してたし』 『飛永が鈴谷さんのマンションに行ったって、ホント?』  そしてやはり、次にはこんな言葉が続くのだ。 『鈴谷は、新納のことが好きだとばかり思ってたけど?』  そんな話に首をかしげる人間が、秀孝のほかにもう一人。 「淳さん、秀孝さんのことどう思ってるんだろう?」  秀孝も、淳と同じくモテる男だ。  浮いた噂は、これまでいくらでも湧いていた。 「でも本当に結ばれてるのは、淳さんと秀孝さんだと思ってたのに」  待てよ……。 「モテモテの秀孝さんに愛想をつかして、淳さんが健斗に走った、とか?」  秀孝は、来るものは拒まず、の男だ。  言い寄って来た少年で、気に入った子とは必ず寝ている、との陰口もあった。

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