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第六章・5

「話は変わるけど、毛利くんは飛永くんのことが好きだろう」 「え!?」  途端に、体が熱くなった。  人に指摘されるのは、初めてだ。  なぜだか、ひどく恥ずかしかった。 「どうして、そう思うんですか?」 「見ていれば、解るよ」  飛永くんと一緒だと、君は生き生きしてるからね。  そんな風に、秀孝は実由を評した。 「そこで、だ。フラれた者同士、仲良くしないか?」 「ど、どういう意味ですか」 「言葉通りだよ。毛利くん、いや、実由。私と付き合ってくれ」 「秀孝さん!?」 「飛永くんは、君の好意を踏みにじって淳と付き合ってるんだ。見返してやりたくはないか?」 「そ、それは……」  秀孝の言葉は、甘い誘惑の響きを持っていた。  学校一のイケメン、学校一の秀才、学校一のスポーツマン。  しかも生徒会長を務める秀孝の隣に居たら、どれだけ鼻が高いだろう。

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