45 / 100
第六章・6
「試して、みる?」
「試し、って?」
そこで秀孝は、実由の体にそっと身を寄せた。
肩が触れ合い、体温まで伝わってくる。
(秀孝さん、いい匂いがする)
汗臭い健斗とは、大違いだ。
そっと肩に、手を回された。
「こうしてると、すごくドキドキして来ないか?」
「え、あ、はい……」
「実由」
素早く、唇を奪われていた。
「んっ」
こわばった実由の体を、秀孝は優しく撫でさする。
「可哀想に。飛永は、薄情な男だね。君みたいな素敵な子を放っておくなんて」
甘いささやきは、まるで催眠術のように実由から力を奪っていった。
(そう、だよね。僕だって、幸せに手を伸ばしても、いいよね)
口づけながら、秀孝は実由のベルトに手を伸ばした。
手際よく外し、制服を下ろす。
「後ろ、向いて」
「は、はい」
言われるがまま、実由はデスクの縁に手をかけて後ろを向いた。
ともだちにシェアしよう!