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第七章 健斗の気持ち
「あ……、寝ちゃってたんだ」
目を覚ました実由は、瞼を軽くこすった。
「シャワー、浴びなきゃ」
バスルームで裸身になると、嫌でも放課後の情事が思い出された。
「僕、秀孝さんに抱かれちゃったんだ」
そして。
「恋人に、なったんだよね」
自分で自分の体を、きゅっと抱いた。
胸が疼く。
秀孝の甘い毒は、実由の体を、心をすっかり蝕んでいた。
「嬉しいな」
言葉に出して、言ってみた。
嬉しい?
ホントに?
「ホントに嬉しいに決まってるよ。相手は、あの秀孝さんなんだよ?」
学校一の人気者の、恋人になった。
浮かれた足取りでバスから上がり、エアコンの温度設定を下げようとリモコンに手を伸ばした。
そこには、パンダの模様がついた、可愛いポチ袋が置いてあった。
「あ……、司さん」
昨夜、彼に抱かれた。
起きた時にはもう彼の姿はなかったが、テーブルの上にそっと置いて行ってくれたのだ。
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