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第七章・4

『水族館で、ペンギンの赤ちゃんがデビューしたって言ってたよ』 『お、それいいな! 水族館に行くよ!』 『がんばってね~』 『おう!』  こういうところは、以前と全く変わらないのに。  しかし、健斗はそこで終わりにしなかったのだ。 『あのさ。新納さんと、うまくいってんの?』  かっ、と顔が熱くなった。  今まで、そんなこと訊いてこなかったのに!  動揺したが、素知らぬ顔で返事をした。 『あのさ。新納さんと、うまくいってんの?』 『うん。秀孝さん、優しいよ』 『そっか。良かったな』 『うん』 『じゃあ、うまくやれよ』 『ありがと』  そこで、やり取りは途絶えた。

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