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第七章・5
「俺、何やってるんだろ」
水族館でペンギンの赤ちゃんが公開された、という情報は、実は知っていた。
それでも健斗は、実由にラインを送らずにはいられない。
彼のことが、気になって仕方ないのだ。
『うん。秀孝さん、優しいよ』
「優しいよ、か」
ベッドに突っ伏し、目を閉じても実由のことが頭から離れない。
「まさか、新納さんと付き合うことになる、なんてなぁ」
小学生のころから、一緒だった。
親同士も仲良くなり、よくお互いの家に遊びに行ったっけ。
『健斗、僕とエッチしよ!』
『な、何で!? 実由と!?』
『このままだと、志望校落ちちゃうよ。慰めてあげるから、立ち直りなよ』
『い、いいのか?』
『いいよ。さ、しよう。彼氏ごっこ』
「あの時は、驚いたけど」
でも、嬉しかった。
幼馴染で、親友。
それが、友達以上、恋人未満に発展した気がしたのだ。
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