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第七章・6
それでも、健斗は実由を恋人にすることができなかった。
「近すぎたんだ。あまりにも」
まるで、兄弟のように。
悩みも喜びも、何でも分かち合ってきた。
そして、健斗は惚れっぽい性格だった。
なにせ、隣の席の子が消しゴムを貸してくれただけで、ときめくのだ。
そのたびに告白しては、玉砕してきた。
付き合ったこともあったが、長続きしなかった。
恋に破れた健斗を慰めるのもまた、実由だった。
「俺、そのうち淳さんとも別れるのかな」
しかしその時、もう実由はいない。
彼は、秀孝と付き合っているのだ。
その現実に、健斗は改めて愕然とした。
「実由は……、もういないんだ」
それは、絶望にも似ていた。
健斗の胸を、締め付けた。
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