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第八章・4
「何だか、余計にややこしくなっちゃったみたい」
一人になった部屋で、実由は唇を少しとがらせた。
まさか、司さんがあんなにハッキリ言うなんて。
『別れないよ』
『私には今、絶対に実由が必要なんだ』
必要とされるのは嬉しいが、司の少し黒い部分を見た気分だ。
「大人はさ、ずるいよね」
司の残していったポチ袋は、今夜はパグの柄だった。
「こんなに可愛いグッズ、どんな顔して買ってるんだろ」
くすっと笑い、紙幣の入った袋を手に取ると、携帯が鳴った。
「誰だろ、……秀孝さんだ」
『こんばんは、実由』
「秀孝さん。どうしたの?」
『今から、君のアパートに行ってもいいかな?』
「え!? い、今から!?」
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