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第八章・5
司に抱かれた後なのだ。
もし、秀孝が求めてきたら……。
(バレるよね、絶対)
「あの。今夜はちょっと」
『どうかした?』
「あ、そう! 頭が! 頭が痛くて!」
『大丈夫か? 看病に、行くよ』
「お薬飲んだから、大丈夫だから」
『でも、もう外まで来てるんだ』
マジ!?
実由は窓を開けて、外に目をやった。
そこには、街灯の下で手を振る秀孝の姿が。
(ちょっと、もう! 何考えてるんだろ、秀孝さん!)
すぐそこまで、来ているのだ。
帰れ、とも言えずに、実由は秀孝を部屋へ迎え入れた。
「コンビニで、お菓子とか買ってきたよ」
「ありがとう」
実由は、司にそうしたように、秀孝にもハーブティーを淹れた。
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