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第十章・4

「僕も秀孝さんも、許されないことをしたんだね」 「そうでもない」  すっ、と秀孝の顔が、淳に近づいた。  囁く彼の息が、唇をくすぐる。 「おそらく飛永も毛利も、本当に愛すべき人間が誰なのか、今頃気づいてる」 「そうか。そうだね」  二人の唇が、重なった。  秀孝のキスは、温かく優しい。  水族館で見せた、あの強引さはまるで見られなかった。  キスをしながら、淳はシャツのボタンを一つひとつ外していく。  秀孝はシャツをずらして、むき出しになった肩に触れた。  吸い付くように心地いい、淳の白い肌。  そこに、軽く歯を当てた。 「んっ」  熱い息が、淳から漏れる。  秀孝はそのまま、彼の体に覆いかぶさっていった。

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