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第十章・5

 飛永には、どんな風に抱かれていたんだ? (いつもの、いや、今までの私なら、そう言うところだろうが)  秀孝は、淳の体に挿入り込みながら、そんなことを考えていた。 「う、あぁ。はぁ、あぁ……」 「淳、素敵だよ」  おそらく人は、いや、淳はそんな風に言われることを嫌うんだ。 『もう! 秀孝さんは、どうしてそんなに意地悪なんですか!?』  さんざん、実由にもそう言われていた秀孝だった。  軽はずみに思ったことを口にすると、相手を傷つける。  こんな簡単なことに気づかせてくれた実由に、秀孝は感謝した。 「っあぁ! 秀孝さん、秀孝さんッ!」 「安心しろ。私は、ここだ」  手の指を絡め、二人は一つになった。  口づけを交わした後、秀孝は動き始めた。 「うぅ、あ。はぁ、は、あぁ! んあぁ、あ!」 「いいな、淳は。すごく美しいよ、君は」 「はぁ、あぁあ!」  淳は、もう精を吐いた。  妙に優しい、秀孝の言葉だ。  だが、その変貌を喜んだ。  優しい男に、身を震わせた。 「好き……。秀孝さん、好きッ!」 「私も、淳が好きだ」  愛してる、と囁きながら、秀孝はじっくりと腰をやった。  自分を熟知してくれている愛しい人を、その身で愛した。

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