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第十章・6
「はい、ハーブティー」
「サンキュ」
健斗は、実由のアパートに来ていた。
「ねえ」
「何だよ」
「淳さんに、連絡したら? 具合は大丈夫か、って」
それには、首を横に振る健斗だ。
「今頃、秀孝さんと一緒に……」
「そんなの、解んないよ!」
実由は、身を乗り出した。
「マンションの外で、さよならしたかもしれないじゃん!」
「だったら、実由の方こそ新納さんに電話しろよ。何で先に帰っちゃったのか、って」
「そ、それは……」
黙ってしまう。
口を、つぐんでしまう。
秀孝と淳が愛し合っていることが容易に想像できるのは、健斗だけではなかった。
「秀孝さん、やっぱり淳さんのことが」
「淳さん、やっぱり新納さんのことが」
二人で、大きな息を吐いた。
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