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第十一章・2
「秀孝さん」
『ぅん?』
「別れてあげる。だから、淳さんを大切にしてあげて。もう、二度と離さないで」
『……ありがとう』
通話を終えて、実由はうなだれていた。
スマホを握ったまま、クッションを抱いていた。
そこに、小さく通知音が響いた。
「ん? ラインだ」
健斗かな、と見てみると、司からだった。
『今日のデートは、楽しかった?』
ああ、と実由は涙をぬぐった。
何も知らない、司さん。
無邪気なものだ。
実由は、泣き笑いしながら返事をした。
『今日のデートは、楽しかった?』
『最高だったよ!』
『良かったね。水族館に行ったんだっけ?』
『うん。詳しく聞きたい?』
『電話しようかな。今、いい?
実由は、ためらった。
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