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第十一章・8
翌日、実由は学校を休んだ。
いろんなことがありすぎて、心が乱れて耐えられなかった。
ただ、泣いてばかりもいられないので、掃除や部屋の模様替えなどやって一日を潰した。
そして夕刻、玄関のチャイムが鳴った。
「新聞なら、いりませんよ~」
そんな独り言をつぶやきながら外をうかがうと。
「実由、元気か? 大丈夫か?」
「健斗!」
実由はすぐにドアを開け、彼を部屋に上げた。
「あれ? 何か、模様替えした?」
「あ、気が付いたんだ」
「これ、お見舞い」
「ありがと!」
健斗の持ってきてくれたアイスを食べながら、実由は少しずつ笑顔を取り戻していった。
やっぱり、健斗がいると楽しいな。
健斗といると、楽しいな。
「思ったより元気そうで、良かったぜ」
「午前中は、死んでた」
「目が赤いもんな」
「いっぱい、泣いた」
でも、もういいんだ。
秀孝さんと淳さんは、結局お互いを好きだったんだもんね。
そんな実由に、健斗はアイスのカップを置いて、切り出した。
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