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第十二章・5

「んぁ、はぁ。あぁ、う……」 「実由ぅ……」  しばらく繋がったまま、互いの体を撫でさすった。  そうして、互いの愛を感じていた。  健斗が挿入った時と同じくらい優しく外へ出て行った後も、実由は動けなかった。  荒い息を吐き、瞼を閉じ、涙を流して余韻に浸っていた。 「実由、平気か?」 「ん……。すごく、悦かった……」 「でも、泣いてるじゃん」 「嬉し泣き」  そう言うと、健斗はもう一度キスをしてくれた。  甘えて鼻を擦り付けると、くすぐったいような笑顔を、くれた。 「シャワー、浴びなきゃ。実由、先にいいよ」 「ありがと」  シャワーを先に使わせてくれるのも、初めてだ。 「健斗。あの健斗は、本当に健斗かな? キツネが化けてるんじゃないのかな」  そんな冗談をつぶやきながら、実由はシャワーを使った。

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