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第十二章・6
健斗に夕食を振舞い、見送った後、実由はスマホを手にした。
「ちょっと気が重いけど、言わなきゃ」
司さんに。
僕は健斗と両想いになれました、って。
しかしそこには、すでに司からのラインが入っていた。
『今夜、そっちに行ってもいい?』
「これは……、エッチのおねだりかなぁ?」
考えた後、実由は返事をした。
『エッチ無しなら、いいよ』
聡い司さんなら、これでもう気づくかもしれない。
僕と健斗とのこと。
少し後に、返答があった。
『それでもいいよ。会うだけ』
「じゃあ、大丈夫……、っと」
ごめんね、司さん。
でも僕はもう、健斗以外の誰ともエッチしたくないんだ。
スマホを置いて、実由は心の中でそう答えていた。
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