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第十二章・7

 司は、実由にケーキを買ってきてくれた。 「これ、風星堂のケーキ。おいしいよ」 「えー!? あの、行列のできる店の!?」  わざわざごめん、と謝る実由に、司は微笑んだ。 「お祝いだから」 「お祝い?」 「でも、一応訊こうかな。健斗くんとは、どうなった?」 「あ……」  やはり司は、何もかもお見通しなのだ。  少し照れながら、実由は報告した。 「あの、ね。健斗に、好きだって言えた」 「健斗くんは?」 「健斗も、好きだって言ってくれた」 「やっぱり、お祝いだね」  さ、食べよう。  そんな明るい司に、実由は少々困惑していた。

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