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【SIDE:L】

 ……おかしい。  シャワーの音が止んでからしばらく経つのに、理人さんが出てこない。  湯船でゆっくりバスタイムを堪能してるだけなら良いけど、今日はなんだか様子がおかしかったし、もしかして体調が悪かったんだろうか?  季節の変わり目はそれでなくても体調を崩しやすいし、今はもうすっかり症状がなくなっているとは言え、理人さんは精神的な持病も抱えている。  理人さんのことだ。  もし不安を抱えていたとしても、自分からは打ち明けてくれないに違いない。  ――絶対入ってくるなよ!  本当にただのおせっかいなら、言いつけを守らなかったと怒られるだけだ。  失うものはなにもない……はず!    コンコン。    意を決してノックしてみても、返事はなかった。  まさか、倒れて――!? 「理人さん……!」  バァンッ……と、風呂の扉を突き破った俺が見たのは、 「なっ、さ、佐藤くん!?」  四つん這いになって、鏡に尻を押し付けている理人さんの姿だった。

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