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第5話

チュンチュンと元気に鳴く小鳥たちの声で目を覚ます。 いつもならば、けたたましく鳴るアラームの音と母の呼び声で目を覚ますのだが、今日はそれがないことを不思議に思いながら、隣で寝ているであろう弟の名前を呼ぶ。 「ん~、優希……?」 薄っすらと瞼を開き、ようやくその違和感に気付く。 見慣れない天井に、ふかふかの肌触りの良い布団。 横に目を向けるが、隣で寝ていたはずの優希の布団さえそこには無かった。   ここ、どこ……?   見慣れぬ室内は塵一つない和室で、 ここが自分の部屋ではないことは寝起きの回らぬ頭でも理解できた。   辺りを見回して、明るい日が差し込む障子に目を向けた時、そこに居た見知らぬ人物と目が合い思わず肩が跳ねる。 じーっと穴が開くほど見つめられていることにその時初めて気が付いたのだ。 最初に口を開いたのは障子の前でちんまりと佇む、朱色の羽織がよく似合う男性からで「おはよう」と鈴が鳴るような声で挨拶をされる。 「お、おはよう、ござい、ます?」とややカタコトになりながら挨拶を返せば、その人は柔らかく微笑んで、その笑顔だけでなんだか心が和んでしまう。 「あ、あの!ここは、一体?」 昨夜は確かに弟の優希と自分の部屋で寝ていたはず。 それがどうしてか、知らない場所で寝ていることにこれは夢なのかと考えてしまう。  

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