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第10話

「虎珀さん……?」 今にも泣き出してしまいそうな顔に、どうしたのかと心配になる。 「大丈夫、ですか?」 紫翠と、朱火にも目を向けると、二人も瞳を逸し、暗く俯いていた。 本当にどうしたのだろうか。 皆の様子がおかしいことは見て取れる。 「……すまない。我れらは、ただ……」 ポツリ、呟かれた一言は……しかし、最後まで聞くことは叶わなかった。 つい先程まで離れた所で座っていた青髪の男が、今は目の前に居て、その目には先程の三人が向ける悲しみとはまるで違う。怒りに満ちていてその瞳に飲み込まれてしまいそうで……。 「お前は選ばれたんだ」 選ばれた? 一体何に? 「俺ら四神の生け贄にな」 青髪の男の一言と、その場の空気は夢ではなく現実で "生け贄"という言葉に一瞬にして身体から血の気が引いていった。

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