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終わりの日⑤

 そのまま全組一斉に行われる応援合戦に突入したが、白組の勢いは衰えなかった。結局青組はギターが一人目立つばかりで、団結した白組には到底及ばない。  圧倒したまま応援合戦を終え、大役を果たした清虎が清々しい表情で空を仰いだ。目を閉じて、おもむろに自分の額に巻かれたハチマキに触れる。  まるで祈りを捧げているような神聖な姿で、陸は声を掛けられずに佇んだ。そしてふいに、そのハチマキが元は自分の物だったことに気付く。  無意識に陸も自分の額に触れていた。  もしも清虎の行動に意味があるのなら、その「意味」に自分が影響しているのだとしたら。そうだったら、どんなに良いだろう。  そんなことを考えながら、ただひたすらに清虎を見つめ続けた。  ゆっくり目を開けた清虎が、陸を見て微笑む。 「陸、どないしたん。ぼーっとして」 「俺、清虎の黒髪好きだなぁと思って」  咄嗟に口をついて出た言葉に、清虎が声を立てて笑った。 「またか。ホンマ、陸はドキッとすること真顔で言うなぁ」  可笑しそうに肩を揺らしながら陸に歩み寄り、清虎は少し腰をかがめて視線を合わせた。急に真剣な面持ちになり、陸に尋ねる。 「髪だけ?」 「え?」 「陸が好きなんは、俺の黒い髪だけなん」  予想もしていなかった問いかけに、陸は大きく目を見開いた。その目を覗き込む清虎の眼差しに、熱がこもっているような気がするのは自惚れだろうか。少しの間、見つめ合った状態が続いたが、先に目を逸らしたのは清虎だった。「なんちゃって」と、妙な空気ごと笑い飛ばす。 「さっきのお返しや。どや、ちょっとは焦ったか」 「う……ん。ドキッとしたかも」  どこからどこまでが冗談か解らず、陸は早鐘を打つ心臓を押さえた。

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