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第17話

「どこでって……床だよ」 「ダメだ!」 「声うるさ……」  足に負担をかけないよう動かないことにした結果、レオンは動きの分だけ声が大きくなっているようだった。 「どこで寝たって変わらない」 「俺が嫌だ。この季節、風邪を引くかもしれないだろう。それに、床では休めるものも休めない」 「かと言って、他に寝るところもないでしょ」 「俺が床で寝ればいい」 「それは俺が嫌。あんたは一応客で怪我人。ちょっと前までは病人だった。そんな人を床に転がしておいて、完治が遅れでもしたら余計に煩わしい」  別にレオンを心配してのことじゃない。アンリはいつだって、自分のためになることしかしない。そもそも。森の一人暮らしでは誰かのためを考えての行動は必要ない。 「俺も同じだ。君を床に寝かせるわけにはいかない」 「だから、他に寝るところが――」  ないんだってば。アンリがそう答えきる前に、レオンは食い気味で、しかも思わず耳を塞ぎたくなるほど大きな声で「ある!」と言った。 「二人、同じ寝台で寝たらいい」

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