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第43話
「他にしてほしいことがあれば、何でも言ってくれ」
「……それじゃあ、キスがいい」
まだ少しだけ熱に浮かされた振りをして、そう頼んだ。あれだけ身体を触り合ったのに、キスだけはしていなかったことが気になったからだ。
レオンが本当にアンリうぃ好きだと言うのなら、キスはしてくれるのだろうか。それとも躊躇うのだろうか。
彼は顔を赤くしながら、しばらくの間思案した後、ぼそりと言った。
「……目を瞑っていてくれ」
アンリが瞳を閉じると、唇に柔らかいものが触れた。身体はあれだけ激しくまさぐり合ったのに、キスだけは、唇を重ね合わせるだけの優しいものだった。
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