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第47話
「そういうの、言わなくていいから」
「何故だ?」
そして、開き直った彼は強かった。
「……嫌なことはしないって、言ったくせに」
「君が本当に嫌だという理由があるならもちろん止める。だが、俺が俺の意思を示すことは自由なはずだ」
つまり、言いたいから言っているということだ。
「……もしかして、心底嫌なのか?4」
開き直ったと思ったら、沈黙するアンリを前にした途端、声が小さくなる。アンリとしては恥ずかしいやらむずがゆいやらで黙っていただけなのだが、少し自信がなくなってしまったらしい。
そうだ。忘れがちになるが、レオンはアンリよりひと回りも年下だった。まるで子犬を相手しているような気持ちになり――明け透けに言ってしまえば、絆されてつい言ってしまった。「嫌じゃない」と。
「そうか。だったらもっと言うぞ。朝起きてから寝るまで、何回もだ」
すぐに笑顔を取り戻した男を見て、嵌められたと悟った。
「すまないな。君がいろんな顔を見せてくれるから、調子に乗ってしまった」
しかも、すまないと言いながら、彼はちっとも反省しているように見えないのだ。
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