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第48話
アンリは逃げるように、様子を見てくるからと鶏小屋に向かった。
レオンにはまだ慣れておらず、彼の姿を見る度に襲いかかっていく鶏たちだったが、アンリには懐いている。
動物のスタンスはシンプルだ。生命維持に役立つ存在を、餌を与えてくれる人を大切に想う。
人間にように、真意を推し量り空回りをして疲れずに済む。言葉が通じない分、嘘を吐かれないのもよかった。
「羨ましいな。相思相愛だ」
襲われないように、レオンは木陰に隠れているが、声が大きいのでよく聞こえる。
「毎日餌をあげてるからだよ」
「確かに、最初はそれで懐いたのかもしれないが、今はそれ以上だろう。餌がなくとも君に近づいてくるからな」
実際、今は鶏たちの餌の時間ではない。ただレオンの求愛にいたたまれなくなって遊びに来ただけだ。
それなのに、鶏たちは撫でてほしいと寄ってくる。アンリが撫でてやると、うっとりとしていた。
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