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第57話
それから、「教えてくれ」と言いながら、くすぐるように、甘えるように、唇で肌を吸い、痕をつけていく。
最初は躊躇っていたレオンも、アンリが悦ぶと知れば、積極的に舐めて、噛んで、吸うようになった。
「好きだよ。どんな君でも」
「あ、ぅ……」
「恥ずかしがるのも可愛い。気持ちよさそうな声も好きだ」
「や、ぁ……もう……っ」
好きだと言われる度に、アンリは自分が絆されていくのが分かる。
「いつか、君からも好きだと言ってもらえたら嬉しい」
「ああああっ」
後孔に指を挿れられ、ふわふわしていた頭が、もう何も考えられなくなる。求めるままに、もう一度キスをしてもらった。キスの合間には、また、何度も「好き」の二文字が降ってくる。
「好き」と言われる度に、アンリは胸の奥がきゅっと苦しくなった。しかし、嫌な苦しさではなく、じわりとした甘い感情が溢れ出し、戸惑っているが故の苦しさだった。
もし、自分も彼に好きだと言えたら、どうなるのだろう。
彼も、自分のように胸がきゅっと苦しくなるのだろうか。今よりもっと甘い、嬉しそうな笑
顔を見せてくれるのだろうか。
見たいと思った。それなら、言えばいい。彼の言葉に紛れて、たった一言「俺も」と。それだけで、十分に意味は伝わるだろう。
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