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第102話
幼いレオンは、泣いている内に、生きられないことが悲しくなって、死ぬことが怖くなって、もっと泣きそうになる。しかし、大きくしゃくりあげそうになった時には、決まって母であるミレーヌがやってきて、面白おかしい話をしてくれたらしい。
他愛のない話をする時もあれば、どうしても泣き止めない日は、何も言わずにただ頭を撫でてくれた。なかなか寝付けない日には、子守唄を歌ってくれた。
具合の悪い夜、母はいつでも、朝まで一緒にいてくれた。貴族は、立派に育つようにと、子どもの頃から独り立ちの余光として、一人寝が常だった。体調が悪いからといっても、ミレーヌの対応は例外中の例外だ。
ある夜、レオンは熱で汗をかき、暑苦しくなって目を覚ました。ミレーヌは、見たことのないロケットペンダントを握っていた。「それは何?」と聞くと、「お守りみたいなものよ」と答えてくれたという。
ミレーヌも、病弱な息子を心配し、不安になることがあったのだろう。ただ、気丈に振る舞っていただけで。
「これに祈ったり縋ったりする資格なんて、私にはないのにね……」
そう言いながらも、彼女は不安な時は、いつもそのペンダントを握りしめていた。
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