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第108話
いずれ番う日のことを思えば、何の知識もなくまぐわおうとするのはいただけない。それでも、レオンはあの少年以外に興味がわかず、ヒートのオメガ相手に、自分の身体を無理に発情させられるのもごめんだった。
あの少年も、知識はあるのだろうか。もしかしたら、教育係として、他のアルファを相手にしたこともあるかもしれない。そう考えたら腸が煮えくり返りそうになるが、過去はどうしようもない。せめて、自分だけはすべてを彼に捧げたいと思った。初めては、全て彼とがいい。
家柄に縛られているとはいえ、レオンは気楽な次男だ。家は兄が継ぐので、比較的好き勝手に生きられるだろうと考えていた。しかし、初めての父子喧嘩以来、そして古式ゆかしいアーベル家初の規律違反に、父は揺れに揺れた。
挙句の果てには、元気になった次男は、目を離せばすぐに家でしかねないからと、警備の厳しい全寮制の寄宿舎に入れられる羽目になってしまった。
元気になれば、そしてルネット家の現当主の目を盗めば、すぐに彼に会いに行けると考えていたレオンにとっては、大きな誤算だった。しかし、彼の決心は揺るがなかった。
彼は学問をおさめた後に出る、修学の旅に全てを賭けることにした。
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