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第122話
それから、姉は彼がしたことを教えてくれた。
「レオンがね、あの事件を解決したのよ」
健康になってすぐ、レオンは当時ルネット家で働いていた庭師に会いに行った。そこで、庭に毒になるような植物など、何も植えられていなかったことを知る。事件の前も後も、だ。ただ、件の庭師は事件の後で、何かを植え替えた土の痕跡があることに気づいた。
そこに毒を実らせる植物が埋まっていたとして、アンリに抜いて、植え替える時間などあったのだろうか。しかも、植え替え、さらに体についた土を落とすような時間が。たとえあったとしても、そこまで用意周到なら、自分が犯人であると微塵も疑われないよう、もっとわかりづらい毒を使うだろう。
共犯者が存在したり、そそのかされたりする可能性も考えた。しかし、そうであれば捕まった時に名前を出すはずだ。
ミレーヌ以外、屋敷にアンリの味方はいなかったという。ならば、誰かを庇って口を噤むことも考えられなかった。犯人は別にいるのだと、レオンは恋で盲目になることなく、確信をもって当たりを付けた。
「それから、あの子が何人かに話を聞いて回った時に、白状した人がいたの」
あの日、屋敷にいた人に、順番に話を聞いていく。「覚えている限りで構わない。貴方は、どこで何をしていたんですか?」と。そして、訊かれた時に、泣き出した女性がひとりいた。
使用人の女性だった。
やっぱり、と思わないこともない。疑いたくはないが……あの時にアンリを陥れられる人間がいるとしたら、母か彼女しかいなかったのだから。
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