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第132話

「あ、あっ、んっ」  やっと気持ちが通じあったのだから、全部を堪能すると彼は言った。だから、まだ性器を挿入してもらえていない。もどかしくなるような愛撫がずっと続き、互いのフェロモンを強く感じて焦らされる。甘くてくらくらする香りが、部屋中に広がっていた。 「あぁ……っ」  敏感なへそのあたりを、ゆっくりと撫でられるものの、彼の指は屹立した性器を無視して、内腿へと向かう。 「あっ、なんで……」 「楽しみは最後にとっておく派だ」  嘘つき。最初の頃なんか、突進するばかりの勢いで向かってきたくせに。  発情期も相まって、全身が敏感になっている。シーツが素肌にこすれるだけでも感じる。ゆっくりと肌を撫でられながら、求めあうようにキスをした。快感はゆるゆると広がっていき、身体の内に溜まるばかりで、発散されない。 「も、やだ……っ、あぁっ」  快感を直接拾える箇所には触れてもらえないから、ただ腰が揺れるばかりだった。はしたないと思うのに止められない。自分で触ろうと手を持っていこうとしたが、「もう少し待っていろ」と手を掴まれてしまった。動けないように、手首がシーツに縫いつけられる。 「んんっ」  耳朶を食まれ、舐められ、びくりと震えてしまう。

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