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第134話
「すまない。怖がらせるつもりはなかった」
口の中に放たれた白濁を飲み下した後で彼が言う。
「ちがう……きもちよすぎて、こわい……」
そして、さらにその先を求める自分のはしたなさも怖かった。一度達したというのに、後ろの口は濡れ、内壁をひくつかせながら早く熱いものをあてがってほしいと震えている。
「可愛い……」
真っ赤になりながら涙を滲ませる瞳のふちにキスが落とされた。まるで子供のような扱いだ。
分かっている。自分は世間知らずで、突き放すような態度も、ただ冷静ぶりたいがための鎧だ。それを剥がされては、子どものころから成長していないも同然だった。しかし、ひと回り以上も歳の離れた男に、子ども扱いされるのは悔しかった。
「年下のくせに、なまいき……っ!」
起き上がり、驚いた彼に跨る。
「……俺にだって、そういうことの知識くらいある」
震えている後孔に、既に硬くなった彼のそれをあてがい、ゆっくりと腰を沈めていく。内壁から、全身に痺れるような陶酔が広がる。
「は、ぁっ……」
このままもう一度腰を上げ、落とせばいい。しかし動こうにも下半身の力が抜けて動けない。ただ小刻みに腰を揺らして、息を漏らすだけだった。
「無理に動かなくていい」
「あっ……」
がっちりと背中に腕を回され、肌が擦れ合う。しばらくはこのままでいいと、呼吸を整えるようにそのままでいた。黙っていると心臓の音まで聞こえそうで気恥ずかしくなる。しばらくすると、後ろは早く突いてほしいと甘えるように、彼をぎゅっと締め付けた。
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