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第3話 チュートリアル1

「ハルッ……、ハル……!」 「しっかりしろ、ハル!」 「大丈夫ですかっ」  耳元でぎゃんぎゃん喚き散らかされるのがうるさくて、眉をしかめる。 「目を開けた!」 「ハル、大丈夫か!」  粗末なパイプベッドに横たわっていることに気づいた遥ことハルは、少年から青年へと変わりゆく若木のような声に引きずられるようにして瞼を開ける。 「ここ、は……?」  目眩と頭痛がする。ハルが言葉を発すると、傍らにいた三人の生徒たちがわっと飛びついた。 「よかった……! 体調はどうですか? 頭、痛みませんか?」  最初に言ったのは、黒髪を肩で切り揃えた、地味だが正統派の美人といった面差しの、一番華奢な少年だった。 「頭……?」 「お前は中庭で、落ちてきた植木鉢を避けたあとで、飛んできた泥団子に側頭部を強打されて倒れたんだ。それを俺たちが医務室まで運んできた。これ、何本に見える?」 「一本だけど……?」  指を立てたのは、燃えるような赤髪の、双子の兄弟のうちの一人だった。金色の眸が印象的な、ひょろりと背の高い若者だ。 「何はともあれ、目覚めて良かった。痛むところはあるか? ハル」  赤髪に銀色の眸をした最後の一人が、ハルを覗き込んだ。 「ハル……? きみらは……ここは……?」 「おい、まさか自分の名前がわからない、とか言うんじゃないだろうな?」  金の眸に赤髪の若者が、呆れたように眉を寄せる。その仕草に胸の奥がわずかに波立ったのを呼び水に、記憶が洪水のようにハルの脳裏を埋め尽くした。

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