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第4話 チュートリアル2

「──……っ!」  赤髪に金色の眸を持つ双子の兄、ウィリス・フラン・ロイエンバーム。赤髪に銀色の眸を持つウィリスの弟、トーリス・フラン・ロイエンバーム。そして黒髪の清純派、ララ・フランシス。この三人に関する記憶も、ハルの脳裏に一度に流れ込んでくる。 「おれは──、ハル・ロゼニウム・ガーディナー……」 「? それが、どうした?」  呟くと、ウィリスが不安そうな色を金色の眸に乗せ、覗き込んでくる。目が合うと、いつもは冷静な心の内側がかすかに波立った。  ウィリス・フラン・ロイエンバーム。  トーリス・フラン・ロイエンバーム。  ララ・フランシス。  この三人が自分を「ハル」と呼ぶことが、どういうことかを悟る。絶望し、青ざめた顔でウィリス、トーリス、ララを順に見つめたハルは、自分の立ち位置をようやく理解し、シーツの上で拳を強く握った。 (おれは、転生したんだ……。おれの名前はハル・ロゼニウム・ガーディナー。ラインボルン学院高等部二年に所属する唯一のオメガであり、悪役令息──……)  ──生き方が、いぎたなかったからの。  確かに「神」(仮にそう呼称する)はそう言った。ろくな世界に転生できやしないと。  だが、よりによって十八禁BL恋愛RPG『ベータはアルファの誓約に』の世界に属する悪役キャラ、ハル・ロゼニウム・ガーディナーに転生するとは。 「くそっ、くそ……!」  握った拳で膝を叩くたびに、鈍い痛みが生じ、これが現実だとわかる。ウィリスとトーリスとララの三人は、しばらくハルの奇行を呆然と眺めていたが、やがてララがハルの拳に手を重ね、純真な眼差しでその行為を諌めた。

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