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第14話 ハル・ロゼニウム・ガーディナー5

「ま、今回は洗濯で手を打ちましょう。 できますよね?」 「洗濯?」 「ええ。おれと、ロイエンバーム兄弟、ララ、それに先輩方の汚いシャツもついでに洗いませんか。制服を全部きれいに元どおりにしてくれたら、今回の件は文字通り水に流すってことで」 「そ、そんなことで……許していただけるんですか……?」 「何か不満でも?」 「いえっ! 滅相もないです! やらせてください!」 「じゃ、今から五分後にここに集合してください。溜まっている洗い物を残らず持ってくること。先輩たちだけだと不安なので、おれたちも参加しますけど、いいですよね?」 「も、もちろんです!」  わっと蜘蛛の子を散らすように上級生たちが踵を返して洗い物を持ってくるまでに、ハルは新たな一手を打つ必要があった。 「ハルさま……」  そう。この純真無垢な主人公を、ウィリスでなく、ハルに味方させるべく動くのだ。 「べっ、別にきみのためなんかじゃないんだからな! 汚れが目についたらみっともないだろう。ラインボルン学院の品格が下がる」 「あ……ありがとう、ございます……」 「礼を言われるようなことはしていない」 (よし、ツンデレ発言なら、素直に言葉にできる……! パラメーターの変化なんて、おれの知ったことか! コツさえ掴めばこんなものだ!)  潤んだ眸でハルを見つめるララが、膝の上で握られていたハルの手を、ぱっと掴んだ。 「ふ、ふん。おれは、別にきみを認めたわけじゃないんだからな!」 「わかってます。ありがとうございます、ハルさま」  胸の中がざわついて、波立っている。ララの熱い視線がくすぐったくて、窓の外へ視線をやると、ウィリスが冷ややかに言った。

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