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第15話 ハル・ロゼニウム・ガーディナー6

「……自分で目論んだことの後始末をするのは、当然、正しいことだ。だから今回は粗探しをしないでいてやる。せいぜい、頑張って洗濯することだな」  その言葉で、ハルはウィリスがリンチの首謀者をハルだと特定していることに気付いた。もしもハルが大洗濯大会を切り出さなかったら、この場で処断されていたとしても、おかしくはなかったかもしれない。  紙一重だったことに冷や汗をかきながら、ハルは頬を膨らませた。 「他人事みたいに言ってるが、きみらもやるんだぞ? ロイエンバーム兄弟、それにララ・フランシス」 「はいっ」  勢いよく返事をしたのは、何も知らないララひとりだった。  しかも、ララと目が合った瞬間、視界の端にピコン、と異音とともに小さなダイアログが現れた。 【ララとキス:する・しない】 (ん? 何だこれ?)  思わず「しない」を選択すると、消えた。 (こんな状況でいきなりキスしたら、ただの変態だろ。やっぱりこのゲーム、クソゲーだな)  ハルがダイアログを消すと、唐突に目が合ったウィリスが、「どうかしたのか?」と尋ねてきた。 「いや、何でも……」  その瞬間、またピコン、とダイアログが現れる。 【ウィリスとキス:する・しない】 (何だこりゃ? しないに決まってるだろ!)  変態な選択肢のダイアログを速攻で消し、ハルはパリス先生の許可を取り付け、集まってきた上級生たちを従えて、洗濯室へと移動した。  ダイアログのことを、それほど重要視しなかったハルは、それが次なる試練とつながっていることに気付かないまま、裸の王様を気取っていることにも、また気付いていなかった。

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