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第17話 大洗濯大会2

 だからハルは入学するなり、オメガというハンデを武器として使い、より優秀なアルファの炙り出しを行ってきた。自身の身の安全を天秤にかけてでも、アルファ同士をけしかけて、誰が一番ガーディナー家に相応しいかを見極めるのが、ラインボルン学院に入学したハルにとっての、最重要目標だった。  しかし、ハルの目的を知らない上級生のアルファたちは、オメガでありながらアルファを顎で使うハルに、骨抜きにされている。  そして、そんな程度のアルファでは、ハルの相手に相応しくない、と言わざるを得なかった。 「俺たち今日からガーディナー派に入ることにしますよ。もうモーリジィ派はこりごりです。暴力的だし、指示は一貫してないし」 「ガーディナー派なんてものは存在しませんよ。気を確かに持ってください」 「なければ作ればいいんです!」 「いや迷惑なんで、やめてください」  ハルがきっぱり断ると、「そんなつれないところも魅力的です!」と言われてしまう。  フレデリック・レイス・モーリジィは現在、高等部三年生に在籍するアルファで、ゲーム内での攻略対象キャラでもある。学内にはいくつか派閥があるが、最も先鋭的で専制的なのが、モーリジィ派だった。  ハルは派閥こそ持たないが、顔見知り以上の関係であるモーリジィの派の末端構成員を「ちょっと借りた」末の、ララへのリンチ騒ぎだった。ゆえに、上級生たちがこのままモーリジィ派に帰ってくれないと、ハルが困ったことになるのである。 「とにかく今回のことは、モーリジィ先輩には口外無用です。約束を破ったら実家に言いつけますからね!」  ハルはそう釘を刺しておくことにして、ウィリスとトーリスとララが湯を張った桶に近づいた。自分でも踏んでみたいと思ったためだ。

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