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第29話 紳士淑女のお茶会3
「気になるか?」
「えっ」
「ウィリスのことがさ」
ララの視線の先にウィリスがいることを知ったハルが問うと、ララは顔を赤らめて俯いた。
「いえっ、そういうわけでは……」
「ふん、あの二人はそう特別に仲良くはならないだろうから、安心するんだな。ララ」
ここはBL恋愛RPGの世界である。女性は基本的にモブ的役割を果たすだけで、話の本筋には絡んでこないが、ララがウィリスに対してやきもきするのを見ると、心の奥からもやもやとしたものが湧いてくるハルだった。
(それにしても熱心に話し込んでいるな。あとで何を話したか、アリサに聞いてみるか……)
ウィリスがハルの視界の中で、ハルには絶対に見せない類の笑みを見せているのを見ると、どこか心の内側を引っかかれるような気がする。
(何だ、この変な感情は……?)
ウィリスが誰と何をどうしようと、ララとさえくっつかなければ、別にハルには関係のないことだった。
そうこうしているうちに、別のテーブルから歓声が上がる。
「よし、王様はスペード、ハートが奴隷、クラブとダイヤは見届け人だ!」
見ると誰が持ってきたのか、トランプを持ち出して、一枚ずつ混ぜた山の中から引いていく遊びをしている。が、それがどう見ても王様ゲームの様相を呈しているので、ハルは思わずドン引いた。
(いや、時代考証ガバガバかよ……。しっかりしろよ、製作陣……)
脳裏で入れなくてもいいツッコミを入れてしまうほどの設定のユルさで、隣りのテーブルでは現代でいうところの「王様ゲーム」をアレンジしたものがはじまっていた。しかも、奴隷が命令を実行できない時の罰ゲームが梅昆布茶の一気飲みという様相を呈していて、呆れるほかない。
「きみたち、我が家の秘伝を何だと思ってるんだ……?」
そう言ったハルにも、カードが配られ、回ってきた。一斉に開けると、ララがスペードのキングを、ハルがハートの2を引いたことが明らかになる。
「あっ」
その瞬間、周囲の空気が張り詰めた。
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