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第45話 夜の訪問者3

「お前がこんなに気のおけない冗談を言う奴だとは思わなかったな。先輩連中も、どうしてあれほどハル・ロゼニウム・ガーディナーを怖がっていたのか、意味がわからないとこぼしている」 「それは心外だ。ガーディナー家の家格に関わる」 「ララに呼び捨てになんかさせてるからだ」 「い、いいだろ、別に。みんなだってそうなんだし。それに、おれがいいって言ってやったんだから……」  本当は、こうして楽しそうにじゃれている周囲の同級生たちが、ずっと羨ましかった。アルファ同士だから気のおけない付き合いができるのだと諦めていたが、距離を取っていたのはハルの方だったのかもしれない。 「ところで、その後の調子はどうだ? 頭痛はもう治ったのか?」 「泥団子の件なら、もう平気だ。おれを悪魔か何かと思ってた連中も、ホッとするだろうな。ガーディナー家の嫡男に後遺症が残ったら、一大事だ」 「別にガーディナー家の嫡男じゃなくても、一大事だろ。でもお前が無事で良かった。みんな内心では心配していたんだ。トーリスやララも、俺もな」 「そ、そんな胡麻すりしたって、何も出ないぞ」 「それは残念だ。呼び捨てにする権利ぐらい、俺にももらえるかと思ったのに」 「きみはいつもおれを呼び捨てだろ?」 「そうだな。──でも、無事で良かったよ」  ──無事で、良かったよ。 (──……っ)  ハルは思わずその言葉に胸を突かれた。

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