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第46話 夜の訪問者4
(な、何でだ? こんなの社交辞令じゃないか……)
「ば、ばかじゃないのか? このおれがそう簡単にくたばるわけないだろ。植木鉢を避けるぐらいの運動神経はあるんだ」
「そうだな。次に泥団子が飛んできた時は、俺が守ってやろう」
「やれるものなら、やってみるといい」
いつまでも憎まれ口を叩くことしかできないことに、ハルは苛立ってきた。本当はウィリスにもトーリスにも、それからララにも、昏倒した自分を助けてくれたことに対して、ちゃんとお礼を言っていない。
(くそ、忌々しいツンデレ属性め……! デレはまだか……!)
「それより、ララは大丈夫なんだろうな? おれたちの下敷きになっていたが」
「トーリスが良く様子を見ているが、問題ないはずだ」
「そっか……」
良かった、とハルは心から思った。
ホッとしたらどこか気が抜けてしまい、ウィリスがいるというのに涙腺が緩みかけてしまう。どうも直前に見ていた夢と関係あるようだが、ハルは慌てて涙ぐみそうになる視界を腕を上げて拭い、ウィリスに退出するよう促した。
「きみも災難だったな。おれのことならもう大丈夫だと皆に伝えてくれ。そろそろ休むよ」
「わかった。……ところで、ハル」
「?」
ふと振り返ったウィリスが言った。
「少し話をしてもいいだろうか?」
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