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第51話 突発発情1
ウィリスから与えられるキスは、どこか静謐さを秘めていた。
が、それがやがて官能を呼び覚ますものに変わるのに、時間はかからなかった。
「ん、んぅ……」
ただ唇同士を触れさせるだけでなく、次第に下唇を食まれたり、舌で軽く舐められたりする。ウィリスの求めに応じてわずかに歯列を開くと、ぬくりと中へ舌が侵入してきた。
「ふぁ……っ、ん……っ」
強引に顎を開かされ、たちまち口内をさらわれるが、強気と繊細さが同居するものだということを、この時、ハルは初めて、ウィリスの口づけで知った。
(これが……ウィリスのキス)
いたわるように触れられ、頭の後ろで何か光るものが弾けるたびに、泣きたくなるような衝動が体内を満たした。ウィリスに貪られるうちに、身体の中で何かが膨れ上がり、次第に制御がきかなくなってゆく。
「ぁ……」
(だめ、っ)
何度目か、角度を変えて口内に舌が侵入を果たした刹那、ハルの中にある衝動がぶわっと吹き出した。
ハルは気がつくと、荒い息を立てて食むようにウィリスを貪っていた。絡んでくる舌は熱く、肉厚で、喉奥まで届いてしまうほど体積がある。
「んっ……待、っ」
このまま貪られたら正気でいられなくなる、と、ウィリスの身体を押し返し、顔を離した刹那のことだった。
ピコン、と選択肢のない、金色で縁取られた例のダイアログが目前に現れた。
【神の試練2:ウィリスとセックスする】
(!)
異音に気づいて目を開けたハルの視界に、そのダイアログがゆっくりと点滅をしはじめる。現実に引き戻されたが、急き立てられるような衝動は弾ける時を待つだけで、膨らむばかりで、とても冷静にはなれなかった。
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