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第64話 羨望と憧憬と2
ハルへの好感度が上がってきているらしきララは、もうオメガであるハルを相手に物怖じすることが少なくなっている。
「ハルは最近、ウィリスと喧嘩でもしましたか?」
「いや。何で?」
「ウィリスがハルを目で追っています。気づいてないんですか? ハルがちょっと避けているのかと、ぼくは思ったのですが……」
「そ、そうか?」
ウィリスと目が合う時も、例のダイアログが出る。それを消すたびに罪悪感に苛まれるので、遠慮がちでいたのは事実だった。
ララにバレてしまっているということは、他の生徒たちにもわかっているのかもしれない。ハルは、「そういうつもりはないが……」と苦しい言い訳をした。
「では、ウィリスにもぼくにしてくださっているのと同じように、接してあげてください」
「同じように……?」
「すみません。出すぎたことを……。でも、何だか気の毒で」
そう言って俯くララは、少し寂しそうに見える。
本来ならば、ハルという敵に対してウィリスをはじめとするアルファたちがララと団結し、絆を育んでゆくはずの物語なのだ。そこへ無理矢理ハルが介入したことで、トゥルーエンドへのフラグを片っ端からへし折っているのが現状だった。
「いや。わかった。ウィリスにもちゃんと接するよ。それでいいか?」
「はい。それと……」
ララは、一番最初から相性がいい相手だったから、ウィリスのことを気にするのだろう、とハルは思った。ウィリスをつがい候補のリストに入れない理由のひとつが、ララにあることは、本人には話していない秘密だ。
「ぼくにも、ウィリスにするように、していただけたら、と……」
「え?」
一瞬、意味がわからずに視線を投げると、ララはそれを受け止めて頬を染めた。
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