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第69話 羨望と憧憬と7
ララが話の済んだハルの隣りにそっと並ぶ。
ハルは、その表情をとても真正面から受け止められず、ララの視線の先を追った。そこにはウィリスの遠ざかってゆく背中があった。
「ハルは、ウィリスと……」
ララの声が心なしか、震えていた。
「いや、これは形だけのものだ。俺の発情周期が不安定なことを知った彼が、気を利かせてくれたんだ」
精一杯の申し開きをすると、ララはただ、頷いた。なぜそんな個人的なことを知っているのか、なぜ気を利かせる必要があるのか、一切、問わなかった。
「いいなぁ、ウィリスは。ぼくには絶対にできないことです。ぼくはベータだから……」
ララがぽつりとそう呟くのを、ハルは胸が潰れそうな想いで聞いていた。ララへ何と声をかけたらいいか、結局その日は最後まで、わからなかった。
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