モーリジィと出逢ったことで、このゲームが新たな局面を迎えつつあることをハルは知った。 　ララを入れた五名の攻略対象の最後のひとり──ララ、ウィリス、トーリス、パリス、そしてモーリジィだ──に初めて出くわしたわけだが、ゲーム内で難攻不落と言われる所以は彼の性格の難しさにある。 　好感度が下がったままだとララを標的にし、その裏でハルが糸を引いているかのような工作を仕組まれ、はめられる。反対に好感度を上げすぎても、モーリジィはしつこく肉体関係を持ちたがり、食い下がるキャラだった。 　今はまだ好感度を上げすぎた時のことは考えなくていいかもしれなかったが、とにかく彼の攻略なくしては、輪姦破滅フラグの回避は実質上不可能に近かった。 　おまけに、ウィリスにモーリジィのことを言われて手を上げてしまった。頭に血が上っての行動とはいえ、好感度が下がったことは確実だ。ウィリスにも、本当ならフォローが必要な常態だったが、ハルにはまだその機会が巡ってこなかった。 （次は、クリケット大会だったか……） 　毎年、秋に行われるクリケット大会で、ララが林の中にひとりで入ったところを、モーリジィに乱暴されそうになるイベントがある。 　ウィリスが助けに入ることになってはいるが、その前にララを林の中に入れないのが、最善策だとハルは思った。