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第85話 クリケット大会5

「ボールを持って戻らないとならないので、離していただきたいのですが……」  ハルが身をよじると、途端にモーリジィが大声を上げた。 「俺にちゃんと礼を尽くせと言ってるだろ!」  モーリジィの剣幕に、思わずびくりと反応してしまい、それがモーリジィの嗜虐嗜好に火をつけたようだった。 (やばい、足が……竦む、っ……) 「お前みたいな淫乱オメガは、お仕置きしてやる……!」  そう叫んだモーリジィは、掴んだ二の腕を乱暴に引き、ハルをよろけさせて膝立ちにさせた。そして、ハルの身体を芝生の上に組み敷くと、暴れようとする腰を跨いで、膝でがっちりとその身体を固定する。 「やめ……ってください! 何を……っ」 「はっ、何って? いつもやってることの延長だろ? カマトトぶるなよ。散々煽り立てたのはお前の方だ」 「んなこと、知らな……っ」  仰向けに組み敷かれ、足をばたつかせていると、両手首を頭上でひとまとめに拘束され、そのまま身体をうつ伏せに返される。  ハルは恐慌をきたし暴れたが、モーリジィの膝が片方、背中に乗せられると、まるで大人と子どものような一方的な力比べになった。 (くそっ、びくともしない……!) 「ふん。まだうなじは噛まれていないようだな? え? オメガ。旨そうな、いい匂いがするぞ」  言いながらモーリジィの舌らしき濡れた感触が、丸見えになったうなじを撫で上げる。 「っやだ! やめろっ! くそっ、離せ! 誰がお前なんかとっ! 触るな、汚らわしい不良め……!」  罵られたモーリジィは手下どもにハルの四肢を抑え込むよう命令し、大声で笑いながら宣言した。 「いい拾い物をしたぞ! これから順番にオメガを味わえる!」  モーリジィの一声に呼応するようにして、手下たちの歓声が重なった。

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