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第90話 涙の理由2
でも、起きてもいないことをどう話せばわかってもらえるのか、どんなに考えてもわからない。そもそも預言者のようにキャラクターにこれから起こることを話しても、ゲーム内でペナルティのようなものが付かないのだろうか。
「……ありがとう、ララ」
今回ばかりは深く反省したハルは、そっとララの背中に向かって呟いた声にはっとした。
(……あれ? 今……)
その独り言に補正がかからなかったことに気づいたハルは、急に立ち上がると、ララをはじめとする周囲を見渡した。
「ラ、ララ。その……っ、きみたちに、か、感謝している」
(言えた……!)
ララに向かって話しかけると、ピコンとダイアログが出て、びっくりしたような顔をしたララと目が合う。周囲の反応も鳩が豆鉄砲を喰ったようで、急に気恥ずかしくなったハルは、つい癖になっているツン発言に逃げた。
「お、おれが感謝するなんて滅多にないことなんだからなっ……! せいぜいありがたく思えよ、きみたちも!」
言いながら、ハルは、失言にぽかんとしているララたちを、また失望させたかと思い、不安になった。
しかし、周囲が時間差でどっと湧いたので、ハルは押し寄せる安堵とともに、余計に顔を火照らせることになった。
「なっ、わ、笑うなっ」
明らかにハルの発言を元に盛り上がっている周囲を見回したララが言う。
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