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第104話 ララ・フランシス3

 ララは頬を桜色に染め、ハルを潤んだ目で見た。ダイアログがララの気持ちを代弁でもするように、ピコン、と音を立てて立ち上がる。 「あなたが好きです、ハル。ウィリスでなく、ぼくを選ぶことはできませんか。アルファでなく、ベータのぼくを。お願いします……!」  ララと目が合うたびにダイアログが出ることを、今まで自然だと勘違いしていた。実際は、ララの好感度のパラメーター値は、恋心を抱くまでに高まっていたのだ。 「きみを……? おれ、が……?」 「はい。ぼくはあなたとつがいになりたいです、ハル」 「つがい、って、つまり、その、」 「あなたのうなじを噛む権利を、欲しいと思っています」 「っ……」  好きという単語が、ハルの脳裏で弾けた。  だから今日、ウィリスがともにいるのか、と初めて気づいた。ウィリスに関係することだから。ウィリスはハルの、優秀なアルファ探しの邪魔はしないと言っていた。もしもハルがアルファを見つけた時は、仮のつがい申請を、ちゃんと破棄するとまで言ってくれていた。 「お、れは……」  ありうる、のだろうか。  もしもアルファでなくララを連れて帰ることができたなら。パリスはあると言っていた。あれはハルの気を引くための嘘ではなかったのだろうか。今まで真面目に考えたこともなかったが、ララの提案は新たな可能性をハルの中に芽生えさせた。 「おれは……っ」  ララとくっつけば。  きっと破滅フラグは回避できる。  ウィリスが転生者であったとしても、ララの想い人をみすみす破滅に追いやろうとはしないだろうし、今までのウィリスの行動も、ハルを破滅から遠ざけようとするものばかりだ。トーリスだって、ララ本人だって、ウィリスがそう決断すれば、ハルの人生の崩壊を食い止めようと、全力を尽くしてくれるのではないか。 (ちがう。そうじゃない……)  その考えに傾いた途端、脳裏から別の声がした。

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