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第106話 ララ・フランシス5

「きみのことを、とても大切な友だちだと思っている。おれに初めてできた友人だと、思っていた。きみがおれを大切に想ってくれていることが嬉しい。だからこそ、正直に言わなければ、おれは人としておかしくなってしまう。それは嫌なんだ……」 「……はい」  ララは震えながら、涙をこらえてハルの言葉を聞いていた。 「ララ」  名前を呼びながら、なんて遠いところまできたのだろう、と思った。思えば、目覚めて初めてハルの手を握ってくれたのはララだった。ララの気持ちは真っ直ぐで、純度の高い貴石のようだ。こんな風になれたなら、とララに憧れを抱いていたのは、いつだってハルの方だった。 「きみのことをつがいにはできない。ごめん、ララ。でもおれは、心に決めた人がいるから、きみとつがうことはできない。でもそれは、きみがベータだからじゃない。きみだからだ」 「……っ、ぼく、だから……っ」 「そうだ。アルファだからとか、ベータだからとかじゃなく、心に決めたひとり以外には誰に言われても、うなじを噛ませるつもりはない……おれは」  ララが誘ってくれたから、こんな地平の彼方までくることができた。転生前なら鼻で笑っていただろう、決して換えの利かない関係。  でも、もう決して笑わない。  ララが真心で接してくれるなら、ハルも同じ心で応える義務がある。 「ララ」  名前を呼びながら、なぜララのような人と両想いになれないのだろう、と思った。 「ありがとう、ララ。こんなに好いてくれて。おれは言葉にできないほど大事なものをもらった。ありがとう……ごめん、ララ」  ハルが口を開きはじめて、ララは涙を浮かべたまま首を振っていた。わかっていた、諦めている、と言いながら、一方でダイアログがピコン、ピコンと音を鳴らしながら出てくるのが止まない。

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